陽のあたる場所へ
愛されていなくても、側にいたかった。
けれど、もうそれは許されない。
愛がなくても、抱かれている時は幸せだった。
けれど、それはもう二度と共有できない時間…。
結局は繋がることのなかった、心と心…。
沙織は想いの全てを飲み込むように、深く、深く息を吸い込んだ。
「ごめん…。でも違う。そうじゃない」
龍司は 真っ直ぐに沙織の目を見た。
その悲しげな眼差しは、目の奥まで入り込んで来て、沙織は目を逸らすことができなくなった。
いつの間にか雨は完全に止んで、薄雲に覆われて仄かな光を放つ月が、カーテン越しの闇の中に佇んでいた。