陽のあたる場所へ


突然、思いがけない言葉が耳に飛び込んで来て、困惑した沙織は龍司から目を逸らし、俯いてしまった。



二人の間に漂う沈黙。


沙織の戸惑う様子を見て、思いの丈を一気に暴露してしまったことに、龍司自身も狼狽えた。


「…そう…だよね…。
今まで俺のして来たことを考えたら、無理だよね…。
そうだよ…決して許されることじゃない。
今更、好きだなんてムシが良過ぎる。

こんな話、聞かされて、ますます許せないと思っただろうね。本当にごめん…」


「あの…だって…社長には、婚約者の河西さんが…」

「婚約?あぁ…確かに彼女を紹介された時、〝結婚を視野に入れて考えてくれ〟と専務に言われたけど…。
でも婚約はしてない。それに…断ったんだ。もう破談になった」

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