陽のあたる場所へ
龍司は視線を落とし、少し唇を噛み締めると、やがて決意をしたように顔を上げて沙織に向き直った。
「だけど…その話がなくなったからと言って、貴女に受け止めて貰えるとは思っちゃいけないんだよな。
俺が海野さんにして来たことを考えたら…。
だから…もう俺の顔を見るのが嫌で、本気で会社を辞めたいと思うのなら、辞表を受け取る。
だけど、俺なんかの為に失業してたまるか!と思うのなら、仕事を続けてくれ。これからは、私情を一切挟まず、普通に接すると約束する」
「何、それ…」
沙織が呟くように言うと唇を噛み締めた。
「…ごめん。突然押し掛けて身の上話して、好きだって告白して、そんな状況だったんだから理解してくれなんて言われても困るよな。
うん…どう考えても身勝手過ぎる」
龍司は、ゆっくりと立ち上がり、沙織に向かって力なく微笑んだ。
「帰るよ。話、聞いてくれてありがとう。仕事のことは、じっくり考えて」
「待って下さい。どれだけ勝手なんですか?自分の言いたいことだけ言って…」
沙織は、睨むように龍司を見上げた。