陽のあたる場所へ
「暫くの間、兄と二人にして欲しい」
と龍司が言うので、沙織と千晶は、外に出て川沿いの道を歩き、少し早いお花見をしながら、自己紹介をし合い、世間話をした。
この明るく芯の強そうな女性は、きっと卓也もまた同じように抱えていた心の闇を、長い間かかって、ずっと寄り添いながら、塗り替えて来たのだろう…
暫くして戻ると、目を真っ赤に腫らしながらも、卓也と笑い合う龍司の姿があった。
あぁ…この二人は、また兄弟に戻れたんだ…
以前よりも、もっと絆が強い、本物の兄弟に…。
何も聞かなくても、それが伝わって来て、沙織は安堵の溜め息を漏らした。