陽のあたる場所へ
沙織はやりかけていた仕事を大急ぎで片付けた後、図書資料室へ向かった。事件当時や、その後の経緯を参考文献で調べ直す為だ。
必要なことを調べた後、出口に向かう途中で、沙織は一冊の本を見つけた。
大学時代に友達から借りて読んだ本‥
何かのきっかけでふと思い出したが、どうしても思い出せなくて気になっていた箇所があった。
その本を手に取り、気になった場所を探すが、よくわからない。
最初の方から読み始めたら、だんだん夢中になってしまった。
龍司から訂正を求められた箇所は、30分もあれば手直しができるだろう…
…あと少しだけ…
沙織は資料室にもう誰の気配も感じないのをいいことに、書棚の間にある長椅子に座り込んで読み始めた。