陽のあたる場所へ
③ 夢の続き
「夢の続き、してやろうか…」
「えっ!?‥」
龍司が耳元で囁いた時に吐いた息の熱が、沙織の全身を震わせた。
龍司は、沙織の肩越しに書棚に左手を着き、右手の人差し指はシャツの合わせ目にかけたまま…
身体を寄せてはいるが、全く沙織の身体に触れてはいない。
「どうする?」
まるで目の奥まで入り込んで来るような視線に、沙織は目を逸らすことができない。
「強引にやる趣味は俺にはないし、そこまで飢えてもいない。あんた次第だ」
あの時のキスが脳裏に浮かんで、あのままエスカレートしたら、どうなるのだろう…と考えたら、瞬時に身体が熱くなった。
どうしたいのか、頭の中がまとまらないまま、ただ口をついて言葉が出た。
しかし、カラカラに渇いた沙織の喉から出たのは、声にならない言葉だった。
「‥‥‥‥て‥‥」
「なに?聞こえない」
「‥し‥て‥‥ください」
自分の口から出た言葉なのに、自分の頭がついて行かない。羞恥心が急に湧き上がり、逃げ出したくなったが、身体が動かなかった。