陽のあたる場所へ
仕事では、ミスという訳でもないことまで、否定されることが多い。
彼にはいつもきつく当たられてばかりだ。
どう考えても、彼にとって自分は、足手まといの疎ましい存在でしかないのだろう。
それなのに、キスをされ、身体を弄ばれ…
沙織には、龍司の行動の根底にある感情が全く理解できない。
頭の中を整理したくても、自分の想像力では不可能だ。
悩みたくもない事で悩み、そんな気持ちに支配され、全精力を仕事に注ぐこともできない状態になってしまう。
「もうこの仕事から降りろ!吉沢、お前が後を引き継げ」
「えっ?は、はい」
突然、名指しされた吉沢が、戸惑った様子で、沙織と龍司の顔を交互に見た。
ついに任されていた仕事まで外されてしまった。