陽のあたる場所へ



龍司に呼ばれた吉沢が、沙織を気にかけながら社長のデスクに向かい、一通り説明を受けてから戻って来た。

「海野先輩、大丈夫ですか?最近、調子悪いみたいですけど、身体の具合でも悪いんですか?
残業、ずっと続いてましたもんね。
これ、僕が仕上げますから、少し身体休めて下さい」

後輩である吉沢の優しさと、自分の不甲斐なさに、涙が出そうになる。





ずっと様子を伺っていた光里が、正面の席から声を掛けて来た。

「沙織、今日、飲みに行こっか‥」

「…ぅ‥ん…」

二人に気を遣わせて申し訳ないと思うものの、もうどうしたら良いのか、わからなくなってしまった。



沙織が大きく溜息をついた時、龍司に呼ばれた。


社長室の奥にある小さな書庫の整理をしろと言われた。

「あんたは今、雑用くらいしかできないだろ」

返す言葉もない。

< 36 / 237 >

この作品をシェア

pagetop