陽のあたる場所へ
龍司に呼ばれた吉沢が、沙織を気にかけながら社長のデスクに向かい、一通り説明を受けてから戻って来た。
「海野先輩、大丈夫ですか?最近、調子悪いみたいですけど、身体の具合でも悪いんですか?
残業、ずっと続いてましたもんね。
これ、僕が仕上げますから、少し身体休めて下さい」
後輩である吉沢の優しさと、自分の不甲斐なさに、涙が出そうになる。
ずっと様子を伺っていた光里が、正面の席から声を掛けて来た。
「沙織、今日、飲みに行こっか‥」
「…ぅ‥ん…」
二人に気を遣わせて申し訳ないと思うものの、もうどうしたら良いのか、わからなくなってしまった。
沙織が大きく溜息をついた時、龍司に呼ばれた。
社長室の奥にある小さな書庫の整理をしろと言われた。
「あんたは今、雑用くらいしかできないだろ」
返す言葉もない。