陽のあたる場所へ


「え?…あの、でも……」

「そう…、知っての通り、俺は秘書などつけない主義だ。自分のスケジュールくらい自分で管理できるし、何よりも他人に行動を指図されるのは御免だ」

「それなら…」

「あ~…秘書っていうのは違うな。社外の仕事に同行する必要もない。社内で必要な時だけ世話をしてくれたら、それでいいんだよ」

「え?…どういう事ですか?」

「わかんない?今日みたいな雑用と…、処理係だよ、アッチの」

くわえたままの煙草から、煙が一筋立ち昇って行く。
その煙越しに、龍司が不敵な笑みを浮かべた。



「何、言ってるんですか?!そんなとんでもないこと…。
それに社長にだって恋人が居るでしょう?」

「毎日忙しいからね、そんな時間も作れなくて、ストレス溜まるんだよね。だから、そういう相手が身近にいたら便利かなって」


思いもよらない龍司の言葉に、沙織は憤りの気持ちを隠せずに、思わず立ち上がった。

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