陽のあたる場所へ
「最っ低!メチャクチャなこと言ってるの、わかってます?!」
「使えない社員の使い道、考えてやってんだよ。寧ろ感謝して欲しいね」
憤りを通り越して言葉が見つからずに、沙織は息を飲んで龍司の顔を睨むように見つめる。
「…なーんてこと言ったら、セクハラの上にパワハラだよな。ホント、最低だ。冗談だよ」
龍司は、沙織が怒りの表情を見せるのを、まるで楽しむかのように口の端を歪めて笑う。
確かに仕事では、望まれるような成果を出すこともなく、迷惑をかけた方が多いかも知れない。
それは反省して改善すべきだと、わかっている。
けれど、龍司の前では、何故だか本領を発揮できないばかりか、ヘマばかりしてしまう自分に、沙織自身も苛立っているのは事実なのだ。
だから、沙織には返す言葉などある筈もなく、黙り込んでしまった。
「何でだろな…。あんた見てると、メチャクチャなこと言いたくなるんだよね」
ゆっくりと立ち上がり、沙織を見下ろしながら苦笑いを浮かべる龍司だったが、目の奥はとても冷ややかで、沙織は何も言い返せなくなった。