陽のあたる場所へ
恍惚の表情の中にも、龍司の心はここには居ない。
身体を繋ぎ合っているのに、一つになれない淋しさ…
そんな気持ちを打ち消したくて、沙織は少し半身を起こし、龍司の背中に腕を回して引き寄せた。
意外にも、龍司は従順に沙織の胸の中に収まって来て、抱き合う形になる。
本当の意味で抱き合ったのは初めてで、沙織の瞼の裏が熱くなる。
龍司の煙草の匂いと、抱き締めた身体の熱に、ただ溺れ、愛しさがどんどん募って来る。
〝その時〟がだんだん迫って来る。
徐々に迫り来る感覚に、沙織の顎が上がり、背中が反って行く。
龍司の全てをきつく抱き締めたまま、沙織は昇りつめて行った。
そして龍司も、沙織の胸に抱かれたまま果てた。