陽のあたる場所へ
一瞬、幸せだと錯覚した。
錯覚だと気付くのにも、時間はかからなかった。
沙織の身体から出て行くと、すぐに日常に戻ることのできる人。
「不要品、ダンボールに詰めたら、隅に置いといてくれ。終わったら帰って構わない」
服装を整えながら、沙織の顔も見ずにそう言うと、スーツのジャケットの袖に腕を通しながら、龍司は社長室を出て行った。
暫く、呆然と床に座り込んでいた。
火照った身体がなかなか冷めなかった。