陽のあたる場所へ
―――貴方の抱き方は、
『愛』じゃなくて『憎しみ』―――
どこかで気付いていた筈なのに、完全にわかってしまった…
そんなに私が嫌いなの?
…私を嫌いなくせに、どうして抱いたりしたの?…
心の中で渦巻く疑問も、
それでも断ち切れない愛も、
伝えられないまま…
一度でもこんな関係を結んでしまったら、余計に引き返せなくなる…
そんなこと、わかってた筈なのに…。
涙が一筋頬を伝ったのに気づいて、沙織はそれを拭って大きく溜息をついた。
そして、床を這うようにして少しずつ立ち上がった。
頭は完全に龍司のことに支配されたまま、手だけを機械的に動かし作業を終えた。
ここから出た時に、誰かに異変を悟られてはいけない。
沙織は服装と髪を整え、大きく息をして無理やり一度笑顔を作ると、ドアノブに手をかけた。