陽のあたる場所へ
⑤ 本心
年が明け、仕事がスタートして一週間。
龍司のことは、心に引っ掛かったままの沙織だったが、それでも、毎日、何とか快適に生活して行く為に、気持ちを引き締めて仕事に臨んだ。
取り敢えず今のところは、まだ問題は起きていない。
年末、実家に帰ると、当然のように将来の話になる。
しかし、親戚の叔母さんが、しつこいくらいに見合いの話を薦めて来る…なんてよく聞く話は、30歳になる前にパタリと途絶えた。
親の心配もわからない訳ではない。
それでも、両親、妹と、普通の正月を迎え、仕事を離れた穏やかな数日を過ごす事ができた。