陽のあたる場所へ
⑦ 再会
「沙織?!沙織……だよね?」
駅へと向かう歩道で、後ろから呼び止められ、振り返る。
「やっぱりそうだ!似てる人なのかと思いながら擦れ違ったんだけど、やっぱり沙織だ!」
地上に吸い込まれる寸前の夕陽を背に立っているその人の逆光の中の姿が、だんだんクリアになる。
その声の主は、沙織に会えたことが本当に嬉しそうに、柔らかい微笑みを見せた。
とてもとても懐かしい笑顔に、淋しげな、それでいて意志の固い冷たい表情の記憶が重なっては離れ、また重なる。
あの頃より髪も短くなり、スーツやネクタイの趣味も大人っぽくなっていた。
ただ時を経ただけでなく、様々な経験を積み重ねた上につけた自信のようなものを然り気無くまとって、その人は立っていた。
フルスピードで巻き戻された記憶は、また早送りで現在までプレイバックされる。