陽のあたる場所へ
穏やかに微笑んだ亮だったが、真顔になり少し考え込むようにしてから、口を開いた。
「…沙織は?…」
「え?…」
「…沙織は、…結婚したの?」
「え、…私はまだ…」
「…そうなんだ…」
そう答えた時の、その笑顔に意味があるのか、ないのか、わからないまま、沙織も尋ねた。
「亮は?」
「俺も、まだ…」
「そう。…で、いつ、こっちに戻ったの?」
「ん…、去年の春かな…」
そこで会話が途切れた。