陽のあたる場所へ
「あ、あのね…感じの悪い上司がいるのよ。今日、光里と一緒に悪口言ってたら、余計に腹立って来ちゃって…。大丈夫よ、泣いてなんかないよ」
「そっか…ならいいんだけどさ。でも、もしこれからでも何かあったら、愚痴相手くらいしてやるから、連絡しなよ。携帯番号も書いとく。はい、これ。」
亮は、スーツの内ポケットから自分の名刺を出し、その裏に電話番号を書いて、沙織に差し出した。
亮のあまりにも自然な行動に、戸惑う沙織。
「え…でも…」
沙織の戸惑いに気付いた亮は、頭を掻き、少しバツの悪そうな顔をした。
「あぁ……そっか…。俺達、前に付き合ってて別れてるんだもんな。普通の友達が偶然再会して、連絡先交換…って訳には行かないか…。
つい昔のノリに戻っちゃって…。
無神経過ぎたかな?だったら、ごめん」
「…ううん…そんなことはないんだけど。でも、確かに少し戸惑った…」
「…だよな。でも、それはそれでいい思い出として残しておいてさ…、それ以前は友人でもあったんだし、また友人としてならうまくやれないかな?気心も知れてることだし」
「…そうだね…」