ずっと君を。
◆zero◆
———あれは1年ちょっと前。私が中学3年生に上がる前の春休みのこと。
春休みの課題を黙々とやっている私の隣で寝転がる幼馴染み。
特に何をしているわけでもなく、ただ床を背にしているだけ。つまりは空気と化している。
「そういえばさ、椎って高校どこ受けんの?」
「花咲高校だよ」
「……は?」
私の言葉に数秒間を置いて間の抜けた声を出した幼馴染み、もとい佐藤拓人。
真っ黒な髪はツーブロックにされていて、綺麗な白色の肌とのコントラストをなしている。
それにプラスして大き過ぎず細過ぎない二重瞼の目と薄い唇。
まさにイケメンと言われる部類に属する顔だ。
まぁ、悔しいから絶対格好良いとは言わないけど。