絶対値のゆくえ



卒業式の後、遠い街に引っ越しをする。



は? 訳わかんない。



君と一緒に北高に受かって、思いを伝えて。



君も私と同じ気持ちだったら、もちろん幸せだし、


もしダメだったとしても、振り向かせられるように頑張ろうと思っていた。



高校生活を君と一緒に送りたいのに。



今と同じように君と笑いあっていたいのに……。



嫌だ……嫌だ!



行きたくない!!



白い息が小刻みに吐き出され、目の前がくらくらした。




その時。



「いずたそー?」


「……っ!」



いつもの温かい声に呼ばれ、びっくりするとともに、


私は目をこすって、頑張って笑顔を作った。



< 16 / 43 >

この作品をシェア

pagetop