絶対値のゆくえ
卒業式の後、遠い街に引っ越しをする。
は? 訳わかんない。
君と一緒に北高に受かって、思いを伝えて。
君も私と同じ気持ちだったら、もちろん幸せだし、
もしダメだったとしても、振り向かせられるように頑張ろうと思っていた。
高校生活を君と一緒に送りたいのに。
今と同じように君と笑いあっていたいのに……。
嫌だ……嫌だ!
行きたくない!!
白い息が小刻みに吐き出され、目の前がくらくらした。
その時。
「いずたそー?」
「……っ!」
いつもの温かい声に呼ばれ、びっくりするとともに、
私は目をこすって、頑張って笑顔を作った。