絶対値のゆくえ
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つい数か月前までは、クラスの中は雑談や笑いであふれていたのに。
公立志望の人が多いため、教室の中の空気はぴりぴりしていた。
私は無事、引っ越し先で通う私立高校に合格した。
先生と相談した結果、公立である北高への願書は出さないことにした。
「お前、ちゃんと願書出した?」
「う、うん。とっくに」
「さすが! 俺も準備できたし出してくるわ」
数日後、それぞれの公立高校の倍率が発表された。
北高はこのエリアで有数の進学校でもあり、毎年志望者は定員を超えていた。
今年は去年以上に競争率が高いようだ。
試験は受けないことにしたけど、私は勉強を続けていた。
君が無事に合格するまで、私も一緒に頑張るんだ。
そう決めたけど、
「はぁ――」
公立入試の日が近づくにつれて、君の元気がなくなっていた。