絶対値のゆくえ
ぼりぼりと頭をかく回数が増え、
時々、ため息も聞こえてくるようになった。
「…………」
もしかして、あのことがバレちゃったのだろうか。
確かに、今は、お父さんの引っ越しが完了して、お母さんと2人暮らしの状態。
親同士の噂のネタになっているかもしれない。
ある日、思いきって聞いてみた。
「よっくん大丈夫? 最近、顔色悪いよ」って。
すると――
「あのさ……」
「ん?」
「いや、やっぱいい」
そうつぶやき、君は机に突っ伏した。
「何? 気になるんだけど……」
どうしよう!
もしかして気づかれてしまった?
ずきずきと胸を痛ませながら、その姿を見つめた。
「……お前、どっか行っちゃうの?」
「え……」
上手く息ができなくて、頭がぐらりと揺れた。