絶対値のゆくえ
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☆
公立の入試まであと1週間。
受験に向けて、先生の授業と自習が交互に繰り返された。
シャーペンは動かしているけど、頭の中に内容が入ってこない私は、
気が付くと君の姿を見つめてしまっていた。
いつからか、私が隣の君を見つめると、
君も私に視線を向けてくれるようになって。
それが嬉しかったけど、今は。
君には目の前の問題に向き合ってほしい。
でも――
「なんだよ。見てんじゃねーよ」
「ご、ごめん……」
やっぱり君は私に目を向けてくれた。
好きという気持ちと、後ろめたい気持ちが、ごちゃまぜになって押し寄せる。
思わず視線をそらした。君の表情は見れなかった。
何をしているだろう、私は。
集中させてあげないといけないのに。
君の邪魔をしてはいけないのに……。