絶対値のゆくえ
☆
その日は真っ白い空に、ぱらり、ぱらりと細かい雪が舞っていた。
私にはそれがゴミやちりにしか見えなかった。
今頃、君は北高で試験を受けているんだろう。
得意の社会でちゃんととれたかな? 数学は調子よかったかな?
そんなことを思いながら、私は昼過ぎから北高近くのドトールで時間をつぶしていた。
15時。もう試験が終わったはず。
『どうだった?』
とりあえずそう打ってみる。
既読はついたけど、返信はない。
『今から会えないかな? もう私、教室出て校門向かってるよー』
自分の鼓動を全身で感じるほど緊張しながら、再びメッセージを送った。
すぐ手元でスマホが震えた。
急いで画面をタップした。
『近くの席にクラスのやつがいて、ちょっと話してから帰る』
『了解。終わったら連絡してくれる?』
もう試験は終わったのだから、早く言ってしまいたかった。
だけど、その日、君からの連絡はなかった。
ラインを送ってみたけど、返信もなかった。
ああ……とうとうバレたんだ。
直感で、そう、思った。