絶対値のゆくえ







その日は真っ白い空に、ぱらり、ぱらりと細かい雪が舞っていた。


私にはそれがゴミやちりにしか見えなかった。



今頃、君は北高で試験を受けているんだろう。



得意の社会でちゃんととれたかな? 数学は調子よかったかな?


そんなことを思いながら、私は昼過ぎから北高近くのドトールで時間をつぶしていた。



15時。もう試験が終わったはず。



『どうだった?』



とりあえずそう打ってみる。


既読はついたけど、返信はない。



『今から会えないかな? もう私、教室出て校門向かってるよー』



自分の鼓動を全身で感じるほど緊張しながら、再びメッセージを送った。



すぐ手元でスマホが震えた。


急いで画面をタップした。



『近くの席にクラスのやつがいて、ちょっと話してから帰る』



『了解。終わったら連絡してくれる?』




もう試験は終わったのだから、早く言ってしまいたかった。


だけど、その日、君からの連絡はなかった。



ラインを送ってみたけど、返信もなかった。



ああ……とうとうバレたんだ。



直感で、そう、思った。





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