絶対値のゆくえ
次の日は普通の登校日だった。
公立問題の解答速報が出たため、自己採点をすることになっている。
今日、私の口から、君にちゃんと言おう。
そう決心して、自分の席についた矢先。
「あのさ、いずたそ、昨日北高にいなかったよね? 何で!?」
「私も思ったー。やっぱりあの噂って本当なの?」
同じ北高受験組のクラスメイトから、そう声をかけられた。
試験後でざわついたクラスの中でも、その声は教室にやたら響く。
その時、ちょうど君が教室に入ってきた。
「あ、うん。その……」
急に鼓動が早まり、言葉に詰まる私。
目の前のクラスメイトは、気まずそうな顔をしていた。
聞いちゃいけないことだったかな、などと思っているのだろう。
私が黙り込んでしまうと、
ずかずかと君は私に近づいてきて、腕をつかんだ。
「ちょっといい?」
無表情の君は、突然私を教室の外へ連れ出した。