絶対値のゆくえ
☆
「やっぱり彼氏いた方が、お互い励ましあって頑張れるんじゃね?」
「いやいや、絶対それ無理! たまには息抜きしようって時々遊んだりしてさ、結果どっちかが落ちたらマジ気まずいじゃんー」
「でも最近、勉強ばっかだし、ちょっとは癒しが欲しいよ~」
「はーん、愛があれば高校合格できるってかー!? そんな世の中まじくそスイーツ!」
この時期の体育の授業は、いい気分転換になりつつある。
私はバスケの準備をしながら、友達2人の議論を半笑いで聞いていた、が。
「いずたそはさー、よっくんと付き合わないの?」
と、突然話題を振られ、ドキッとしてしまう。
「付き合うも何も、別に何もないって! もちろん、よっくんの勉強の邪魔もしたくないし……」
私は少し顔を熱くさせながら、
体育館の奥、男子たちのバスケ風景に目を向けた。
運動神経抜群の君は日ごろの勉強のストレスを吐き出すように、軽やかにドリブルをかまし、シュートを決めていた。
プレイ中の姿はもちろん、
嬉しそうな顔で仲間とハイタッチをする姿にも見とれてしまう。