絶対値のゆくえ
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☆
12月に入る。
志望校の調整を行う、先生との面談があった。
みんなそれぞれの志望校はあるけれど、
結局、自分の成績に見合った現実的なところにされていく。
私は北高志望のまま、頑張ることになった。
「一夜を越して愛深まる? ワンナイトラブ、じゃなくて和親条約。
不平等、いや~んこわ~い通商条約……っと」
「あのさ。よっくん覚え方、個性的すぎなんだけど」
みんなの面談が終わった頃の、ある昼休み。
隣の席の君に突っ込みを入れると、
君は、「ん」と言って、私の顔に1枚の紙を押し付けた。
急になんだろうと思いながら、私はその紙を受け取った。
『第一志望:北高校 ⇒この調子でいけば合格圏内は近いぞ!』
それは、先生からのコメントが書かれた進路希望用紙。
私は嬉しい気持ちになり、「すごいじゃん!」と伝えた。
「俺、人生でこんなに勉強してんの始めてかも」
そう言って大きなあくびをする君。
家でも寝る間を惜しんで机に向かっているのだろうか。
私も負けていられない。