恋は盲目
「龍也(りゅうや)さんなんてやめなよ」

"龍也"という言葉が、司の口から出てくるなんて思わなかった。
その一言で、私は悟った。

司は、私と龍ちゃんの関係に気づいていると。

「なんで知ってるの」

私は静かに司に問いかける。

「…この間、二人でホテルから出てくるの見たんだ」

司はドアの前に立ち尽くしたまま、そう言った。
司の方を向いていた私は、司の姿を見ていられなくなって窓のほうへ向きなおす。

「龍也さんは美咲さんと付き合ってるんだろ」

司は美咲先輩のことも知っていた。
どこまで知っているんだろう。


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