アラビアンナイトの王子様 〜冷酷上司の千夜一夜物語〜
遥人だった。
少し迷って出る。
桜田と喧嘩している勢いのお陰だ。
そうでなかったら、出なかったかもしれない。
そう考えれば、桜田も役には立つ。
『おい、カピバラ』
「どんな電話ですか」
今、何処ですか、と嫌味も交えて言おうかと思ったら、下に居る、と言い出す。
見ると、窓の下に遥人が居た。
「梨花さんはどうしたんですか?」
遥人の姿を見ながら、携帯でそう訊くと、
『近くの店で、何度も服を着替えては、店員と話し込んでいるから置いてきた』
と言う。
おいおい。
それ、絶対、これ、どう? って、服見せようとして探すだろ、と思った。
距離があってもわかる鋭い目線でこちらを見ながら遥人は言う。
『那智。
なんで、梨花の浮気相手とそこに居る』
「まあ、話せば長い話なんですが」
と言ったが、本当のところ、なにも長くはない。
そのとき、
「那智、貸せ」
と桜田が携帯を要求してくる。
この男、なにを言うつもりだ、と思いながらも、一応、渡した。
少し迷って出る。
桜田と喧嘩している勢いのお陰だ。
そうでなかったら、出なかったかもしれない。
そう考えれば、桜田も役には立つ。
『おい、カピバラ』
「どんな電話ですか」
今、何処ですか、と嫌味も交えて言おうかと思ったら、下に居る、と言い出す。
見ると、窓の下に遥人が居た。
「梨花さんはどうしたんですか?」
遥人の姿を見ながら、携帯でそう訊くと、
『近くの店で、何度も服を着替えては、店員と話し込んでいるから置いてきた』
と言う。
おいおい。
それ、絶対、これ、どう? って、服見せようとして探すだろ、と思った。
距離があってもわかる鋭い目線でこちらを見ながら遥人は言う。
『那智。
なんで、梨花の浮気相手とそこに居る』
「まあ、話せば長い話なんですが」
と言ったが、本当のところ、なにも長くはない。
そのとき、
「那智、貸せ」
と桜田が携帯を要求してくる。
この男、なにを言うつもりだ、と思いながらも、一応、渡した。