アラビアンナイトの王子様 〜冷酷上司の千夜一夜物語〜
そう思ったとき、少し離れた店のガラス越しに梨花が見えた。
店員と話しながら、携帯を手にとる。
自分が戻らないので呼び出そうとしているのかもしれない。
こんなとき、煙草を吸う人間なら、ちょっと吸いに出ていたと言えるのに。
急いで戻り、梨花がかける前に、店のガラス戸を押した。
ああ、と梨花がこちらを見て、少し不満げな顔をする。
「もう〜、何処行ってたの?」
「いや、会社から電話があって」
少し年配の店員が赤くなってこちらを見ながら言う。
「さっきから、貴方の自慢話ばっかりなんですよ、梨花さんは」
梨花は不思議に、自分より若い店員、可愛い店員の居る店には行かない。
ちょっと年配の人の方が感じが良く、センスもこなれているからかもしれないが。
「行きましょ。
もう買ったから」
と梨花は微笑み、腕を取ってくる。
大きな紙袋を三つも店員から渡され、受け取ると、梨花が言った。
「この近くに美味しいロシア料理の店があるのよ。
行かない?」
「……行かない」
え? と梨花がこちらを見上げる。
店員と話しながら、携帯を手にとる。
自分が戻らないので呼び出そうとしているのかもしれない。
こんなとき、煙草を吸う人間なら、ちょっと吸いに出ていたと言えるのに。
急いで戻り、梨花がかける前に、店のガラス戸を押した。
ああ、と梨花がこちらを見て、少し不満げな顔をする。
「もう〜、何処行ってたの?」
「いや、会社から電話があって」
少し年配の店員が赤くなってこちらを見ながら言う。
「さっきから、貴方の自慢話ばっかりなんですよ、梨花さんは」
梨花は不思議に、自分より若い店員、可愛い店員の居る店には行かない。
ちょっと年配の人の方が感じが良く、センスもこなれているからかもしれないが。
「行きましょ。
もう買ったから」
と梨花は微笑み、腕を取ってくる。
大きな紙袋を三つも店員から渡され、受け取ると、梨花が言った。
「この近くに美味しいロシア料理の店があるのよ。
行かない?」
「……行かない」
え? と梨花がこちらを見上げる。