アラビアンナイトの王子様 〜冷酷上司の千夜一夜物語〜
間抜けな部下のそれほどでもない秘密
朝、チャイムを連打されて、那智は目を覚ました。
何処の子供だ。
ピンポンダッシュか?
とインターフォンの映像を確認すると、遥人だった。
「なんなんですか、朝早くにもう~」
と言いながら、鍵を開ける。
遥人は中を窺いながら、
「あの男は居るのか?」
と訊いてくる。
「桜田さんですか?
帰りましたよ。
もともと仕事抜けてきてただけなんですから」
「いいから入れろ」
「はいはい、わかりましたよー」
と言いながら、那智は中に入る。
遥人は後ろをついてきた。
「おはようございます。
今朝は何処から来られたんですか?」
「家からに決まってるだろう」
「……梨花さんは?」
「帰ったよ」
いつ? と突っ込みたかったが、ちょっと突っ込む勇気はなかった。