俺だけ見てれば、いーんだよ。
「ファンクラブは?両立とか超嫌なんだけど」
「当たり前だろ。解散だよ」
「そんなにうまくいくかなぁ」
友達として一緒にいるときだって、けっこう睨まれたりしたけどな。
「絶対に、誰にもお前のことを傷つけたりなんかさせない。俺が守る。信じろ」
「なんて、かっこいいこと言っちゃって、この間、クリスマスは5人くらいさばけそうとか言ってたじゃん」
私は疑いの目を向ける。
「浮気したら即、別れるよ」
「バカか、お前。俺はファンクラブの子に手出したことなんて、一度もねーぞ」
「えっ、そうなの?」
「クリスマスだって、絶対にお前と過ごすって思ってたしな」
「私が好きって言わなかったらどうするつもりだったのよ」
「何か他の策を考えてた」
だったら、自分から言えばいいのに……。
素直じゃないなぁ。
まあ、素直じゃないのは私もだけど。
あの自信はどこからくるんだろう。
やっぱり、モテると違うのかな。
見事に十夜の思い通りになっちゃったな。
「とにかく、那菜は何も心配するな。俺のそばにいろ」
イジワルで、素直じゃなくて、俺様で、口げんかばっかり。
でも、どうしようもなく好き。
十夜の全部を独り占めしたい。
それが叶ったんだよ。
夢じゃないよね?
「ね、十夜、私十夜から好きって言葉、まだ聞いてないんだけど」
「言わなくてもわかるだろ」
「わかんない。言って」
「……そんな大事な言葉、もったいなくて言えるか」
「もーー!!」
「それは王様に挨拶しろって言ってるようなものだぞ。身分を考えろ」
「……やっぱ下僕扱いじゃん」
「ま、そういうことだな」
チャイムが鳴った。
冬休みは、クリスマスは、もうすぐだ。