俺だけ見てれば、いーんだよ。





「十夜先輩!」

声のした方を見ると、3人組の女の子たちが教室の入口に立っていた。


「おー、何だ?」

「お話があるので、来てもらえませんか?」

十夜が立ち上がる。


また告白かな。


「ちょっと行ってくる」

「うん」



十夜が告られるのなんて日常茶飯事だ。



「またか」

泉が言う。

「まあ、いつものことじゃん。それより泉は?クリスマスどうするの?」


「あたしは、今年は彼氏と過ごしたいな」

私は驚く。

「泉、彼氏出来たの?」

そんな話聞いてない!!

「出来てないよ」

「なんだ、単なる妄想か」

「あーのーねー」

泉が腕組みして眉をつり上げる。

「あたしだって好きなやつくらいいるよ」

「エエーーッ!?」

私の叫びにクラスのみんながこっちを見る。



「うるさいよ、那菜」


何も聞いてないよー。

泉って好きな人いたの!?



あまりの衝撃に何も言えずにいると、泉はさらに驚きの事実をその口で告げる。


「今日の放課後告る」

「エエーーッ!?」



「だから、うるさいって」

「あ、あああ相手は誰なの?」




「十夜だよ」




もう、叫び声すら出なかった。





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