好きっぽい★
「あら。こんな格好でごめんなさいね。言ってくれたら、ちゃんとしたもん作ってあげたのにー」


そう言いながら、パジャマ姿で部屋に入ってきたその人は、きっとカジ君のお母さんだ。


「お。いらっしゃい」


さらに、その後から、お父さんも入ってきた。



――ん?

ちょっと待って?


あたしとケイちゃんは顔を見合わせた。



「あの~……」


ケイちゃんがカジ君に声をかける。


「カジ君……お兄さんは?」


心なしかケイちゃんの顔も青ざめてきた。


そんな様子を気にするでもなく、カジ君はサラりと答えた。


「うち? 兄貴いないよ?」



「え……」


あたしとケイちゃんが叫びそうになったその瞬間……。


――ボーン……ボーン……ボーン


柱時計が深夜0時を告げる音を響かせた。

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