好きっぽい★
ああ……あたし、なんかおかしいのかな。

こんな時に、こんな場所で……こんなこと言っちゃうんだもん。


だけど溢れそうな想いを止めることができなかった。


もう無理だよ。


もう抑えられない。


「カジ君が好き……」


暗くて彼の表情はよくわからなかった。

だけど、一瞬カジ君が息を飲んだ気がした。


「あのさ……ナギ……オレ……」


「わかってる」


あたしはカジ君の言おうとしたことをさえぎった。

フラれるのはわかってる。

でも、どうしても最後まで言わせてもらいたかったんだ。



「わかってます。カジ君に彼女がいることぐらい。でも、好きなんだもん……ヒィック……」


もう涙が溢れて、上手く言えない。


肩がヒクヒクと上下して、呼吸が乱れる。


「お願い。キスして? そしたら、それで諦めるから……だから……」


「あのさ。お前意味わかって言ってんの? 彼女いるようなヤツにキスされてほんとに嬉しいわけ?」


「意味なんてわかんないよ! ただ好きなんだもん! それだけじゃ……ダメ?」




泣き顔のまま訴えた。

しばらく見つめあったまま沈黙が続く。


カジ君はふいにあたしから目をそらしてうつむいた。

何かを考え込むように、スニーカーのかかとでジャリジャリと砂を蹴って……そしてふいに顔を上げた。


「しらねーからな」


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