好きっぽい★
その瞬間、ぐっと腰を引き寄せられた。

唇に触れたのはあたしのよりずっと熱い、カジ君の唇。


「ん……」


唇の角度が変わって、あたしの吐息が漏れた……。


腰に回っていた手にさらに力がこもる。


カジ君の息遣いを感じる。

熱い息にあたしの体温も上昇する。


頭がぼーっとして立っていられなくなりそう……。


そう思った瞬間、パッと体が離された。


「カジ君……」


薄明かりの中で見る彼の目はいつものような優しいものじゃなかった。


「これで満足した?」


カジ君はそう言うとまたあたしから目をそらしてしまった。


――嫌われたんだ。


そう思った。
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