好きっぽい★
そうだよね。

彼女いるってわかってるくせに、キスして欲しいだなんて……。

自己中もいいとこだよね……。


「ごめっ……」


ごめんなさいって言いかけたその時、トンネルの向こうから声がした。


「おいー! カジー? ナギー?」


大野先輩が走ってこちらに向かってきた。


「何かあったのか?」


あたし達の様子に何かを感じたのか、眉間に皺を寄せて、険しい顔をしている。


「なんもねーよ」


そう言うと、カジ君はあたしに背を向けて歩き出した。

もう一度も振り向いてくれなかった……。
< 63 / 108 >

この作品をシェア

pagetop