彼の秘密
お互い様
「おはよーん」
なんてご機嫌に
僕の肩へ顎をのせる君は
解ってる。
みんなと写真を撮るとき
君は写真写りが良いって
よく言われてるけど
ほんとは解ってる。
眠そうにしながら
目をこする君は
解ってる。
自分が
どうすれば可愛いとか
どうすれば
好かれるとか。
顎をグリグリ押し付けて
返事をしろ!
と
ふくれている君は
解ってるんだ。
自分がどんなに
愛されているかを。
そんな君にしてやられるのは
なんだか嫌だ。
『僕だって』
そう踏ん張り見せてやった。
寝起きのくせに
顔の筋肉全体を使った
とびっきりの笑顔を。
この時の僕は
まだ自分の変化に
気付いてはいなかった。