伝説の女~元No.1ホスト
どんな話が聞きたいのか、アキ君に訪ねてみた。

「…ホストクラブ創立の話とか、オーナーとの関係とか…?」とアキ君は言う。

あら?珍しいわね。そんなこと聞いてくるなんて…。

「オーナーのこと好きだから取られたくないとでも言うのかしら?」と私が冗談ぽく言えば、顔を赤らめて俯いてしまった。

初々しくてなんか可愛いな。

この子、恋愛とかしたこと無いのかしら?

「オーナー、あんまりからかわないで下さいよ!」と武信が言う。

「別にからかってないけど?マジで言ってるし?」と私が言うと、「アキそーいうの、疎いんだよ!オーナーと違って…」と武信が言うもんだから、私、ムキになっちゃって…「あなただって大概鈍感なくせに…」と言ってやった。

そしたら…いきなり唇を奪われた。触れるだけの短いキスだった。

はあ?いきなりどーゆうこと?完全フリーズの私。

蒼介や龍にも奪われたこと無いのに…。

「どうだ!スキありすぎたから?」とイタズラっぽく笑う武信に言葉がでない。

アキ君は顔を真っ赤にして、両手で顔を覆っている。

しばらくして、正常な意識?を取り戻した私は、「あなた今なにした?」と聞いた。

「俺に言わせるんですかぁ~?キスですよ!」なんて平然と言ってくる。

私は泣きそうになった。ファーストキスではなかったけど…まさか、恋人ではない人にキスされるとは思ってもなかった。

「…んなこと、わかってるよ!何でキスなんか…っていってんの!!」と私が言うと、

「したかったらです。俺の方がオーナーのこと、大事に想ってきたつもりですよ?龍さんや蒼介さんよりも…」と武信は言った。

えっ?マジで何いってんの?

「いい加減気づいて下さいよ!好きだって言ってるじゃないですかぁ~」と武信が言う。

「…ゴメン、しばらく考えさせてもらえる?今混乱してて…よくわからない」と言うと、「取られたくないっす。龍さんや蒼介さんに…その他の男にも…」と武信は言った。

「じゃあ何で私のもとを離れて、独立なんてしたのよ!寂しかったのよ?」と私が言うと、「耐えられなくて…龍さんも蒼介さんも分かりやすくオーナーゾッコンだったじゃないですかぁ。二人でいつもラブバトルしてて…悔しくて苦しかったの。俺の方がそばにいたはずだし、相談とかも乗ってたのに…って…」と今度は武信が泣きそうになりながら言った。

アキ君はそんな話を聞いて、優しく武信を抱き締めてる。

「…アキ君ごめんなさいね?見苦しいとこをお見せしたわ」と私が開き直れば、

「オーナーの気持ち、察します。なので、俺、インターンお引き受けします!!それから…俺のサポートにはオーナーをつけてください!!」とアキ君は言った。

「…アキ。悪かったな、久しぶりに見たオーナーは相変わらずカッコいくて、変わらなくて…大好きなんだよ…」と苦しそうに言う武信。

「わかりました。って話そらさないで下さいよ!俺は瑞希さんの話が聞きたかったんですから!!」とアキ君は邪魔されたことに怒ってる。

怒り顔も可愛いアキ君。

そんなこと言ったら怒られるかな?

「俺じゃダメ?」と今度は上目使いしてくる武信。

「はぁぁ。龍には壁どんされて迫られるし、蒼介は普通に抱きついて来るしなぁ~今日のこと話したら…大変なことになりそう」と私はボヤいた。

「いつか、迎えにいきます!!」なんてカッコつけてるけど…ムリよ。たぶんね。

アキ君たちと話してるとあっという間に時間は過ぎて…私たちはディナーに向かった。

徹には出逢わなかったけど…どこかでディナーしてるんだろうなあ~。

って多分あの人たち来てたしねー

私たちは3人で美味しくディナーした。

そして、部屋に戻ったら…すでに徹はいた。

徹はベットに座り、難しい顔をしていた。

私はその横で、携帯を取りだし、電話をかけた。

相手は飛鳥だ。飛鳥はすぐに電話に出た。

相も変わらず他人行儀?に丁寧に、「オーナーですか?どうかされましたか?」と言ってくるのに、少し複雑な気持ちになる。
< 12 / 42 >

この作品をシェア

pagetop