伝説の女~元No.1ホスト
他愛ない会話をしながら1日の話をした。

飛鳥は丁寧に相槌をうちながら聞いてくれる。

優しくて、頼れる弟だ。なんて改めて思う。

ふと、武信にキスされた話をしてしまった。

想像以上のオーバーリアクション…。

けど、それ以上にオーバーリアクションをしたのは横で会話内容を聞いてた徹だった。

「この事は龍と蒼介には内緒ね!!」と私が言うと、「もちろんです。もし、バレたら…大変な騒ぎになりますので…くれぐれも口を滑らせないように…」と飛鳥は言った。

想像は出来た。大変な騒ぎになるであろうことは…。

私はこの時まだ知らない。今から起こる更なる出来事を…。

二人の声を聞くと会いたくなるからと私は、二人に代わろうか?という気遣いを断り、電話を切った。

ふと、視線を感じ徹の方を見た。

欲の孕んだ瞳で私を見ていた。

「…何…?」と私が聞けば、私をいきなりベットに押し倒し、強引に口づけをした。

苦しくて…息も出来ず私はじたばたする。

それでも口を離してくれない。どころか、キスは段々深いものへと変わっていく。

まさか…こんなことになるとは…。

武信にされたキスはとても優しくて、すぐに離れていくようなキスだった。

けど今は息つく間もない強引なキス…。

しばらくして徹は苦しげにこんなことを言った。

「誰とでもキスする位ならいっそのこと、俺とだけにしとけ」って。

私だってこれくらいの意味なら理解できる。

そこまで疎いわけじゃない。

「…いつからなの?」と私は言ってしまった。

「高校のときからずっと…。あいつらと出会うはるか前から俺はお前のこと…」と徹は言った。

そっか。やっぱりそうなんだ。

私には彼氏いたからから…ずっと我慢してくれてたのか…。

そう思うととても複雑な気分になった。

けどまさか…1日で、恋人でもない二人の男性からキスされるなんてそんなこと、考えてもなかった。

だからと言って私はいつも通りしてられる自信もあったし、ギクシャクはしないと思うけど…

3週間が不安と楽しみになった。

「なんで、誰とも付き合わない?」とふと徹が聞いてきた。

「仕事と皆が大事だから…」と私は言った。

まぁ、好きな人くらいはいるけどね。

と笑うと…「誰だよ!?」とキレ気味に言ってくる。

まだ言いたくない。皆大好きで…誰を選ぶかと言われたら難しい。

「…徹…」と私が言うと、「そんな声出してもムダ。俺には通用しないよ?」と優しく微笑まれた。

敵わない気がした。

「俺じゃないことはわかってる。誰だよ!?」と徹は言ってくる。

「…言わなきゃダメかな?好きな人はたくさんいるんだよ…ううん、私にとっては皆、大切な人。クラブの皆は家族同然だし…先輩や、先生、もちろんあの人だって…」と私が言うと、

「…そうか、なら今日から3週間、覚悟してもらおうか。ホストの名に懸けて、ゆっくり口説くよ」なんて不敵な笑みを浮かべた徹に体が思わず強ばった。

「今日はもう寝よう」と私は言ってベットに潜った。

のに…ナゼか徹は私のベットに侵入してきている。

そして、私を抱き枕のように抱き締めると熱くて荒い寝息をたて始めた。

うっ、ドキドキして眠れない。

コイツ、絶対確信犯だ!!私を寝不足にさせる気か?

私は強引に剥がしにかかったけど…力が強すぎて離れてくれない。

そうだったーコイツ、運動部でバリバリ体鍛えてたんだったー

ちょっと後悔…。

スゴいやつに捕まってんだな私。

徹のバカァー私はとりあえずそう言うだけ言って目を閉じた。

目が覚めたとき、朝だった。

そして徹は…ベットにはいなかった。

いつのまにか、私は眠りにつけてたようだ。

「…徹…?」と私が声をかけると、

「おはよう。早く準備したら?朝食バイキングに行こう」と徹は言って現れた。

シャワー入ってたのか、髪は濡れていて…上半身は裸だった。

水も滴るいい男…なんてつい見とれちゃう私…赤くなる顔を逸らすように、視線を外した。
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