伝説の女~元No.1ホスト
本気で思ってないこと知ってる。

だって…徹は生粋のホストだもん。

学生の頃だってそうだった。いわゆるチャラ男全開!みたいな感じで…。

けど、ナゼか少し寂しいと思ってしまった。

「ねぇ、良いことって何があったの?」私はやっぱり聞いてしまった。

「うーん、気になる?」と笑いかけてくる。

別に…さほど気にならないけど…

「女っていったら?」と徹は言ってきた。

女?!どーゆうこと?ホストとして、長きに渡りビジネスでしか無いって言ってた徹が?!

私の頭は混乱する。

「…実はさ…」と徹は少し間を置きながら話してくれた。

女というのは、どーやら仕事の話らしくて…なんだか少し残念なのと、ホッとした。

って、徹もいい年なんだし…いつまでもホストしてないで結婚とかも考えてほしいけど…本人は欲の塊みたいなもんだからそんなこと言えないよね…。

まだまだ現役続けたいみたいだし…。

って人のこと言えないか。私も徹と同い年…。

いつまでも仕事、仕事って言ってられないわよね…。

だからって結婚は焦るものじゃないし…慎重にしたい。

もちろん、飛鳥や皆に祝福されてしたいし…。

「飯不味くなるよ?さっさと食おうぜ…」なんて徹はムードの欠片もない言い方をする。

確かにそうだけど…せめてもう少し言い方あるでしょ!

まぁ徹とならムードなんてくそくらえだけどね。

私たちはとりあえずお食事を楽しむ。

間違いない味に自然と頬も緩む。

それ見て笑ってる徹。

こうしてると、カップルに見えてもおかしく無いんじゃないかと思える。

けど、あいにく私も徹もそこまで思わないのよね。所詮友達ってぐらいにしか。

「…何考えてんの?」と徹に言われた。

「なんだろね?徹のことよ?」なんて冗談で言ってみた。

「嬉しいねぇ~瑞希からそんな言葉聞けるなんて」って。

ヤバイ…どうやら私、徹のホストスイッチ入れちゃったみたい…。

「そろそろ結婚考えてもいい年だよね…」

って私は独り言のように呟いた。

けど…そんな言葉を徹が無視するとは思えない…。

今までもどんな独り言でも必ず拾ってくれた。

今回も少し期待してみる。

「何、結婚したいの?俺はまだいいかな~。結婚したらホスト続けらんないしね。まだ遊びたいから…」

意外というか、らしいというか…てな感じの答えだった。

「もういい年よ?どこまで自分に自信あんのよ!」私は言ってしまっていた。

「自分に自信あって何が悪い?!この仕事は自信ねぇとやってけねぇ」と言われてしまった。

確かにそうだけど…。

うっ、辞めよう…この話は終わりね。

「なぁ。ホントにどーしたの?お前だってそうじゃね?」と徹は言った。

わかってるわよ!そんなこと…。

私は頷いた。
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