Snow Of Lieースノー・オブ・ライー


結露のせいで曇ったガラス窓。


そこに誰かがいたずらしたのだろう、大きな手形が幾つか付いていた。


それを横目で見ながら首元に巻いた、分厚い毛糸のマフラーを乱暴に外す。



まだ誰も居ない教室に、当然ストーブが点いている訳も無く、寒々とした空気だけが静かに漂っていた。


小さく息をつくと、その息は白く濁って消えていく。


黒板には、昨日の放課後に担任が書き残したのだろう。


たったの二行。



『9:00より、体育館で終業式有り。

遅刻せぬよう、名列順で集合しなさい。』



淡白に、そう書かれていた。


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