ほんとのキミを、おしえてよ。
「でも、中村さんの言うとおりやっぱり少し心配だから早く帰ろうかな……」
アゴに手を当てて考え込む五十嵐くんの言葉。
「うん!うん!
その方がいいよ!急に体調悪くなることってあるし!」
私の意見採用されて嬉しい。
「でも……中村さんは平気?」
「あ、それは大丈夫!空はこの通りまだ明るいし、いざとなれば防犯ブザー鳴らせばいいし。
私の心配はご無用さ!」
中学の卒業式でもらった思い出の防犯ブザーを見せながら、左手で親指を立てる。
「そっか……じゃあ悪いな」
申し訳なさそうな五十嵐くん。
気にしなくていいのに。
「お気になさるな。
さあ、ということで帰ろう!」
と、歩き始めると
「あ、いや!家、ここなんだ」
慌てて五十嵐くんに止められる。