ほんとのキミを、おしえてよ。
「中村さん!」
茜色の空の下で
通りを走る車のエンジン音に負けない、力強い大きな声が私に届く。
「はい?」
名前を呼ばれて、神経的に振り返る。
夕日がまぶしくて片目を瞑る。
「ありがとな!」
そう言った五十嵐くんの表情は残念なことに、夕日の影になって見えない。
だけど、
きっとまた爽やかな笑顔を浮かべてることは容易に想像できるから
「どーいたしましてっ!」
だから、私も笑って右手を上げる。
今度こそ、夕日に背を向けて歩き出す。
家に帰る足取りは軽い。
今日は書く事がいっぱいだ。