ほんとのキミを、おしえてよ。
「あの、中村さん」
呆然と立ち尽くしていると、後ろから聞こえる私を呼ぶ声。
には、返事をせずにただイラっとする。
はあー。こんなときに話しかけないでよ。
なんか気分下がってるし、いろいろ立て込んで……
って、ん?
あれ?この声……
聞き覚えのある声に勢い良く振り返る。
え、ちょ、え?!
え、なんで!?
「五十嵐くん!!」
なんでそこに立ってるの?!
ど、あわう、無理!状況理解に苦しむ!
ハッ!これはまさか、幻影とか?
「五十嵐くん、本物!?」
ガシッと両肩を掴むと確かに実体はある。
あ、本物だ!!
「あ、はは。本物、だよ」
苦笑いを浮かべるのは紛れもなくいつもの五十嵐くんで。