ほんとのキミを、おしえてよ。


「あーもー!焦れったいな!
花那ちゃんのこと好きなの嫌いなのどっちなの!?」


晴仁くんがハッとする。


「そんなの………好きに決まってんじゃん」


私の目を逸らさずにハッキリ言う晴仁くん。

なんだ。


「わかってんじゃん。だったらさっさと行きなさい!」


それだけわかってんなら、今の二人にはもう十分。

ニヤッと笑って、晴仁くんの背中を強めに叩く。


「有紗ちゃん、ありがとな」


今度は迷いなく、走り出す晴仁くん。

もう、大丈夫だ。


「あっ!場所は非常階段だよー!」


晴仁くんが転びそうになって走る向きを変える姿に思わずクスッと笑ってしまう。

晴仁くんはどこに向かおうとしたんだろう?

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