ほんとのキミを、おしえてよ。
許可はしてない、けど、
確かに私は自分の口で肩貸すって言ったんだ。
だから、
五十嵐くんを拒否できる理由なんてない。
「もー、仕方ないなー。特別に許可してあげよう。感謝したまえ」
さっきと同じ、冗談交じりのトーンで五十嵐くんに声をかける。
「はは、ありがと。中村さん」
いつもより、ずっと近くで聞こえる声。
普段よりも低くて、覇気がないのは多分気のせいじゃない。
どうしたんだろう。
五十嵐くんが自分から何かをするなんて珍しい。
人からの頼まれごとはなんでもしてるけど、五十嵐くんは人にはあまり物を頼まない。
しかも、こんな風に人の答えを聞く前に自分から行動を起こすなんて。
珍しい。なんてレアケースなんだ。
後でノートに書き加えておかなければ。