ほんとのキミを、おしえてよ。
***
「あの〜有紗ちゃん?」
とにかく時間がない。というわけで今日の放課後から早速五十嵐くん家の勉強会にお邪魔させていただいてる私。
最初の1時間はどうにか天才王子様に教えてもらってた私なんだけど……
「あう、花那ちゃん〜。無理だ〜!」
人の集中力というのは短いもので、あっという間に私のやる気がなくなってしまった。
そして花那ちゃんのふわふわの髪で遊び出す始末。
「中村さん、どこがわかんない?」
五十嵐くんが申し訳なさそうに声をかけてくれる。
ああ、こんな優しい人に教えてもらえているのに、私はなんて恩知らずなやつなんだ……
「違うんだよ、柊くん。有紗ちゃんはわからないんじゃなくて疲れちゃったんだよ」
「有紗ちゃん、疲れんのはえーな」
はい、本当に晴仁くんのおっしゃる通りです。
申し訳ないくらい集中力がないんです私。
まあ、そう言ってる晴仁くんだってさっきから勉強せずに漫画読んでるんだけどね。