ほんとのキミを、おしえてよ。
「な、なんか暑いね」
「そ、だな」
パタパタと制服を仰ぐ。
「お茶お茶〜っと」
少しでも熱を覚まそうとお茶の入ったプラスティック製のコップを取ろうと手を伸ばした。
それを口に運ぼうとしたその瞬間。
「っ、あ!」
盗み見た五十嵐くんの視線と重なり、誤って手からコップが滑り落ちる。
宙を舞うコップがまるでスローモションにみたいに見えるのに体が動かない。
そのまま、
五十嵐くんのシャツに、思いっきりお茶のシミがついた。
「あああ!!」
spilt!spiltだ!
一気に顔から血の気が引いていく。
熱なんて、鳴り響く鼓動なんて一瞬にして遠くに飛んでいった。
リアルspiltだよっ!なんてつっこんでる場合じゃない!
「どうしよ、とまれとまれ!液体よ、とまれ!」
私が訳も分からず念じている間も、無常にも薄茶色の液体はどんどんと真っ白な綺麗なシャツを浸食していく。
はっ!そうだよ、念じてたって仕方ないじゃないか!