ほんとのキミを、おしえてよ。
「あーもうっ本当ごめん!ごめんなさい!そ、そうだ!タオルタオル!私のタオル!」
急にタオルがあったことを思い出してカバンから引っ張り出す。
服に手をかけシャツのシミを出来るだけ丁寧に拭いていく。
今日に限ってタオル持ってた私、えらい!
「な、中村さん……あの、それ」
「あ、これね?ちゃんと洗濯されてるやつだから安心してね」
さすがの私も何日間もタオルをカバン入れっぱなしにはしませんから!
ああ、王子様のお洋服を汚してしまったなんて、申し訳無いにも程がある。っていうかファンクラブの人々から吊るし上げられるよ。
中村有紗、一生の不覚……!
せめてもの罪滅ぼしくらいさせてくださいっ!
「いや!そういうことじゃ……なくて」
「ほんと大丈夫だよすぐ終わるからっ!麦茶だからシミにはならないと思うんだけどな……」
こんな時まで遠慮なさらないでくださいな。
ご迷惑をおかけした私なんぞに情けは無用でござるよ。