ほんとのキミを、おしえてよ。


「まあまあ。二人とも頑張ったんだし〜」す


私と晴仁くんはすぐに勉強に飽きるから、その度に花那ちゃんと五十嵐くんのお説教(という名の悟り)が入るんだ。

今回も例に漏れず仲裁をしてくれる。

三日間での結論。

花那ちゃんは大天使どころか大聖母カナエル様だった。

でもって五十嵐くんは……

体をくるりと動かして五十嵐くんの方を向く。


「五十嵐くん本当にどうもありがとう!これでテストいけるよ!」

気がする!だけだけど。


「それは良かった。中村さんすげー頑張ってたし大丈夫だよ、お疲れ様」


そう言ってにこりと微笑む五十嵐くん。


花那ちゃんが大聖母様なら、五十嵐くんは如来様ね。
もう悟り開いてるよこの方。
みんな拝み出すよ。きっとお賽銭もそのうち集まるね。


「晴と花那はいいとして……中村さんは帰れる?送ってこうか?」


言われて見ると廊下にいるのは私と五十嵐くんだけで花那ちゃんと晴仁くんはすでに外に出ていた。


「ううん。大丈夫、自転車だし飛ばせば10分くらいだから」


五十嵐くんのありがたーい提案をお断りして私も外に出た。


「じゃ、また明日な」

「有紗ちゃん柊くんまた明日ねっ」


二人は家が隣ってこともあって仲睦まじくご帰宅。

というわけで、

「本当に今日はありがとう!じゃ、ばいばーい」

私も自転車に乗り込み、五十嵐くんにお礼を告げる。


「ん、また明日」


五十嵐くんの声を背中に足に力を入れてペダルを漕ぎだした。
< 216 / 348 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop